Th08/characters setting.txt

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< Th08
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○東方永夜抄 ~ Imperishable Night

 キャラ紹介とネタバレ
 


                 上海アリス幻樂団長 ZUN
                               2004/08/15
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 こちらは、ED以降にも関わる、強烈なネタバレがあります。
 クリアしたか諦めたか、そもそも気にしない方のみ見てください。
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             この先、1光年
                ↓










































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■0.設定の目次
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 ■1.全キャラ設定




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■1.全キャラ設定
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◇プレイヤーキャラサイド
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 ○楽園の素敵な巫女
  博麗 霊夢(はくれい れいむ)
  Reimu Hakurei

  種族:人間
  能力:主に空を飛ぶ程度の能力


  毎度お馴染みの巫女さん。幻想郷の境にある博麗神社の巫女さん。
  博麗神社自体は、幻想郷と人間界の両方に位置する。

  何者に対しても平等に見る性格は、妖怪の様な普段畏れられている者
  からも好かれる。逆にいうと、誰に対しても仲間として見ない。周り
  に沢山人間や妖怪が居たり、一緒に行動を行っても、常に自分一人で
  ある。実は冷たい人間なのかも知れない。


 ○普通の黒魔術師
  霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)
  Marisa Kirisame

  種族:人間
  能力:魔法を使う程度の能力

  幻想郷にすむ、ちょっと普通な魔法使い。蒐集癖を持つ。
  人間が余り訪れる事の無い魔法の森に住み、魔法の研究をしながら自
  由気ままに暮らしている。

  魔法使いというとインドア(引きこもり)なイメージが強いが、彼女
  は自分から出かけることが多い。魔理沙は研究に没頭している時は人
  が居ない方が良いのだが、そうじゃない時は賑やかなのが大好きだか
  らである。森は人間を引き寄せない為、都合がいいのだ。決して、研
  究途中のものを見せたくないから隠れている訳ではない(魔理沙談)


 ○紅魔館のメイド
  十六夜 咲夜(いざよい さくや)
  Sakuya Izayoi

  種族:人間
  能力:時間を操る程度の能力

  幻想郷にある湖のほとりに、その紅いお屋敷はある。そこで働くメイ
  ドである。

  メイドをしていると、こんな辺鄙な山奥でも衣食住に困らず快適であ
  る。彼女は人間だが、悪魔達と一緒にいる為人間からも妖怪からも余
  り良い目で見られない。でも一部の人間達はそんなことを一切気にし
  ないで接してくれるし、何より食う寝る処に住む処に困らない。これ
  ほど快適な暮らしは他に考えられなかった。


 ○半人半霊
  魂魄 妖夢(こんぱく ようむ)
  Youmu Konpaku

  種族:人間と幽霊のハーフ
  能力:剣術を扱う程度の能力

  冥界にある白玉楼の庭師。
  本来はお嬢様の剣の指南役である。

  生きているのか死んでいるのか、人間なのかそうじゃないのか、本人
  にも判らない。でも人より寿命が長いが、死は訪れるらしいので、や
  はり生きているのかも知れない。魂魄の剣は主に霊体向きの剣ではあ
  るが、生きている者も斬れる。


 ○七色の人形遣い
  アリス・マーガトロイド
  Alice Margatroid

  種族:魔法使い
  能力:魔法を扱う程度の能力

  魔法の森に住む魔法使い。
  魔理沙の魔法使い(職業)と異なり、種族が魔法使いである。

  魔法使いという言葉のイメージ通り、インドア派である。基本的には
  一人でいる事が多い。魔法の森には人間が余り来ないので、非常に快
  適である。ただ、森は嫌な湿度が高く、人形の手入れをしないとすぐ
  に痛んでしまう。その為、人形の手入れを自動で行う人形を作ろうと
  思っている。


 ○紅い悪魔
  レミリア・スカーレット
  Remilia Scarlet

  種族:吸血鬼
  能力:運命を操る程度の能力

  幻想郷にある湖のほとりに、その紅いお屋敷はある。
  そこを仕切るお嬢様である。

  500年余生きている割には、幼い。吸血鬼含む悪魔は、人間からも
  妖怪からも無条件で嫌われる種族である。何故なら彼女らはみんな、
  自分中心で我侭な者と決まっているからである。レミリアもその決ま
  りに従い、かなりの我侭である。B型の血が一番美味い。


 ○華胥の亡霊
  西行寺 幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)
  Yuyuko Saigyouzi

  種族:亡霊
  能力:死を操る程度の能力

  冥界に住む、亡霊お嬢様。
  霊体らしく、ちょっと地に足の着かない行動を取るので大迷惑。
  でも足はある。

  亡霊は死んだ人間の霊である。幽々子は特に何にも考えていない様に
  見えるが、誰も否定しない。好き勝手し放題だが、その死の能力は好
  き勝手使わないので、人間や妖怪に退治される事も無い。でも、心の
  奥底で幽々子に対し恐怖心を抱いている者も少なくない。


 ○境目に潜む妖怪
  八雲 紫(やくも ゆかり)
  Yukari Yakumo

  種族:妖怪
  能力:境界を操る程度の能力

  幻想郷の境の何処かにすむ妖怪。
  境自体は普通の人には見えない為、何処に住んでいるのか不明。
  最低でも同じ境上にある神社ではない。

  幻想郷に住む妖怪の中では、かなり昔から存在し力も強大である。今
  では幻想郷そのもののことを良く知っている者は、妖怪の中でも数少
  ない。彼女は胡散臭く見られるが、それは人間っぽさが少なく、行動
  が理解出来ない所為でもある。その能力は、困ったら簡単に幻想郷を
  潰す事もできる危険な妖怪でもある。



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◇敵キャラサイド
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 ○1面ボス 闇に蠢く光の蟲
  リグル・ナイトバグ
  Wriggle Nightbug

  種族:妖蟲
  能力:蟲を操る程度の能力

  1面ボスである。

  彼女の周りには多くの虫が集まる。蛍は大量に集まっても明滅のタイ
  ミングがピッタリ揃うが、これは実は彼女の様な命令中枢が中に居る
  からである。

  たかが虫、と思っていると大量の虫に襲われ、ひとたまりも無い。特
  に彼女を怒らせ本気を出させてしまうと、大量の恙虫を召喚され、人
  間は高熱を出して死ぬ。


  寒さと殺虫剤に弱い。



 ○2面ボス 夜雀の怪
  ミスティア・ローレライ
  Mystia Lorelei

  種族:夜雀
  能力:歌で人を狂わす程度の能力

  二面ボス。
  人を鳥目にする事も出来る。

  人間は彼女を夜雀と呼ぶが、あまり姿かたちを見る事は無い。何故な
  ら夜しか出ない上に、人間は何も見えなくなるからである。その姿を
  見てしまえば、雀とは呼ばなかったかもしれない。

  彼女の歌声は人間の判断を鈍らせ、暗闇に誘い込まれた人間はそのま
  ま消えてしまう。夜、道に迷う原因の一つでもある。

  また、人間を鳥目(暗いところでは視力が極端に落ちる病)にして、
  自分の姿を隠す事もある。



 ○3面ボス 歴史喰い
  上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)
  Keine Kamishirasawa

  種族:ワーハクタク
  能力:歴史を食べる(隠す)程度の能力と、歴史を創る程度の能力。

  普段は人間だが、満月の夜には白沢(ハクタク)に変身するワーハク
  タクである。人間時は、歴史を喰う能力。白沢時は、幻想郷の全ての
  知識を持ち、歴史を創る程度の能力を持つ。

  今回の異変を見て、余りの強大な力を持つ相手だと思い、妖怪から人
  間を守るために、夜は人間の里を封鎖する事にした。

  歴史を喰う事で誰からも里を見えなくしたのである。

  本人は妖怪だが、人間が大好きで常に人間側に立っている。その能力
  も、人間の為になる事にしか使わない。



 ○4面ボス 楽園の素敵な巫女
  博麗 霊夢(はくれい れいむ)
  Reimu Hakurei

  種族:人間
  能力:主に空を飛ぶ程度の能力

  毎度お馴染みの巫女さん。

  普通に寝ていたが幾ら寝ても夜が明けない。幾らなんでもこれは異常
  すぎると思って、神社を飛び出してきた。夜中の出動は珍しくないが、
  十分すぎるほど睡眠を取った後の夜中の出動は珍しい。でもこの暗さ
  はなんとなく眠く感じるものである。この騒動に決着がついたら、ま
  た一眠りしよう、と考えながら強い妖気を目指して竹林まで来たのだ
  が、そこで見た犯人は良く見知った人間と妖怪だった。



 ○4面ボス 普通の黒魔術師
  霧雨 魔理沙(きりさめ まりさ)
  Marisa Kirisame

  種族:人間
  能力:魔法を使う程度の能力

  普通の魔法使いさん。

  子の刻を過ぎたあたりから森が騒ぎ始めていた。ちょっと不吉な予感
  を感じていたが、暫らくしてその予感は的中する。子の刻を過ぎてか
  ら、通常ならとっくに夜が明けてなければいけない時間が経ったが、
  夜は永遠に続くかのように見えた。こりゃ面白そうだ、と慌てて出発
  したが……、犯人を見つけたときちょっと焦ってしまった。




 ○5面中ボス 地上の兎
  因幡 てゐ(いなば てゐ)
  Tewi Inaba

  種族:妖怪兎
  能力:人間を幸運にする程度の能力


  健康に気使って長く生きているうちに、妖怪変化の力を身につけた兎。
  永遠亭に住む大量の兎のリーダーであるが、その気性の激しい性格は
  妖怪より妖精に近い。

  竹林に迷った者が、たまに彼女の姿を見かける事がある。彼女の姿を
  見ると必ず竹林から抜け出せると言われていた為、彼女は迷いの竹林
  の道案内役だと思われている。

  実際は、彼女から貰った幸運をそんな所で使ってしまうのはもったい
  ないのだが、人間は気が付かない。馬鹿だから。




 ○5面ボス 狂気の月の兎
  鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん・うどんげいん・イナバ)
  Reisen Udongein Inaba

  種族:月の兎
  能力:狂気を操る程度

  月に住む兎。
  赤い瞳は地上の兎の何倍もの狂気が宿る。

  現在は輝夜のペットである。本当の本名はレイセン(片仮名)のみだ
  が、地上人にカムフラージュする為に漢字を当てている。でも非常に
  不自然。

  優曇華院は永琳が付けた愛称。どうしてそんな愛称で呼ぶのか不明。
  さらに永琳は彼女の事を、親しみを込めて「ウドンゲ」と呼ぶ。勝手
  に愛称をつけてしかも略して呼ぶあたり、宇宙人の思考は良く判らな
  い。

  イナバは輝夜が付けた愛称。むしろ兎全般をイナバと呼んでいる。
  輝夜が「イナバ」と呼ぶと、彼女とてゐと区別がつかないが、どうも
  区別していないようにも見える。兎なら何でも一緒なのだろうか。

  彼女は地上人が侵略し始めた月から逃げ出した月の兎だが、詳しい話
  は輝夜のエピソードで。



 ○6面ボス 月の頭脳
  八意 永琳(やごころ えいりん)
  Eirin Yagokoro

  種族:月人
  能力:あらゆる薬を作る程度の能力。天才。


  月の民。つまりは宇宙人。地上に隠れ住んでから結構長い。輝夜との
  付き合いは、はるか昔輝夜が月に居た頃から始まっている。

  八意家は、何時しか月に住むようになった薬の天才家系。中でも永琳
  の知能は抜群である。彼女の頭脳は人間のそれをはるかに上回るが、
  逆に何を言っているのか良く判らない時も多い。

  本当は、輝夜より圧倒的に力を持つ。だが常に輝夜以上にならない様
  に力をセーブしているらしい。


  はるか昔、月の姫である輝夜の罪が晴れた為、罰として地上に落とさ
  れていた輝夜を月に連れ戻しに来た使者の一人。ただ、とある理由で
  輝夜と共謀し、月の使者を全員殺害してしまう。当時輝夜と一緒に住
  んでいた賤しき地上人には、口止め料として永琳特製の「蓬莱の薬」
  の入った薬の壺を手渡した。この薬、飲むと死ななくなるのである。

  その地上人は、蓬莱の薬を使わなかったらしく間も無く死亡した。
  後で分かった事だが、地上人は何者かに殺されていたのである。

  詳しい話は輝夜のエピソードで。

  また、咲夜を見て大変驚くのだが、何故なのかは永琳にしか判らない。



 ○最終ボス 永遠と須臾の罪人
  蓬莱山 輝夜(ほうらいさん かぐや)
  Kaguya Houraisan

  種族:月人
  能力:永遠と須臾を操る程度の能力



  カグヤは月の民の一族であり、月の姫として大切に育てられていた。
  その為、我侭し放題に育てられていたのだ。しかし、ある事件を気に
  カグヤの生活は大きく変わる。興味本位で永琳に、禁断の秘薬である
  蓬莱の薬を作らせてしまい、それに手を出してしまったのだ。

  その事はすぐにばれてしまい、カグヤは処刑された。

  だが、永遠の力を持ったカグヤは死んでもすぐに生まれ変わり、事実
  上死ぬ事は出来なかった。カグヤは罰として次の生は地上の賤しき民
  と暮らす様に命じられ地上に落とされた。間も無くして、一人の地上
  人に発見され、そこで輝夜という名前で暮らす事となった。

                ――

  輝夜は地上で生まれ、地上で生活をしている元月の民である。暫らく
  の間、何の不自由も無く生活が出来ていたのだが……。どんどんと人
  が寄って来るようになり、地上も生活しにくくなってきていた。

  数年後、晴れて輝夜の罪も償われ月に帰る時が来た。しかし、お世話
  になった地上人への恩と情、心のある地上での生活、どうしても帰り
  たくない。だが穢ない処もあり、生活しにくい部分もある。輝夜は思
  い悩んでいた。そんな時月からやってきた使者の中に見覚えのある姿
  を見た。永琳である。

  永琳は薬を作っておいて自分だけは無罪だった事もあり、輝夜に対し
  申し訳ない心でいっぱいだった。その気持ちは強く、輝夜の為なら何
  でもしてやらなければ、と考えていた。そして輝夜と一緒に地上で暮
  らすことを決めたのだ。

  永琳は月の使者を裏切り、輝夜を逃した。こうして、二人は人里離れ
  た山奥でひっそりと隠れて暮らす様になった。そう、そこは妖怪も出
  るような山奥で……。


                ――

  ――それから、本当に長い時間が経った。

  いつしか月から使者が訪れる事はなくなっていたし、二人はとっくに
  昔の事など忘れて平和に暮らしていたのだ。

  だが、そんな平和なある日、輝夜の記憶を呼び戻す出来事が起きる。

  幻想郷が人間界と遮断されてから、もうすぐ百年も経とうとしていた
  頃だった。輝夜はいつも通り誰とも会わずひっそりと暮らしていた。
  そんなある日、一匹の妖怪兎が輝夜の元に逃げ込んできたのだ。その
  兎は実は月の兎だといい、人間以外が住む幻想郷の噂を聞きつけ、な
  んとか入り込んできたという。その兎が言うには、「月に敵が攻め込
  んで来てもう生活出来なくなった、そいつらは月に自分達の旗を立て、
  自分達の物だと言って好き勝手やっている」、らしい。

  兎は月の民が戦っている中、仲間を見捨てて命からがら逃げてきたと
  いう事だった。

  輝夜は自分が月の人だと言う事を思い出した。

  人間が月に攻め入る?
  そんな馬鹿な事があるわけが無い。
  半信半疑だったが、その兎は嘘を付いている様には見えなかった。
  とにかく可哀相な兎、――名はレイセンと言う、を家に置く事にした。


  ――さらにその出来事から数十年経った。

  輝夜と永琳、鈴仙の三人は、また退屈な日々を送っていた。
  ここに居ると誰でものんきで平和的になってしまう。まさに楽園の様
  な処だった。

  そんなある満月の夜、月の兎同士が使うという兎の波動を鈴仙が受信
  した。これは、どんなに離れていてもその大きな耳で会話が出来ると
  いう月の兎の特殊能力である。
  その内容は以下の様なものだった。

  「賤しき地上人は月の魔力を搾取し、月に基地を作ると言い出した。
   我々月の民は、人間とどうにか共存の方向で協議していたが、
   もう限界である。

   我々月の民は、地上人に最後の全面戦争を仕掛ける事にした。
   今の状況では、戦力は我々の方が若干不利に見える。敵の近代兵器
   は我々の想像をはるかに越えていたのだ。
   だが臆する事は無い、我々月の民には何千年も生きてきた知恵と誇
   りがある。負けるはずが無い。

   レイセン、もうすぐ月は戦場となる。
   誇り高き我々と一緒に戦ってくれないだろうか。

   そして、一緒に居ると思われる地上人に伝えてくれ。
   次の満月の夜にレイセンを迎えに行く。
   抵抗しても無駄だ。」、と。

  鈴仙はそろそろ月に帰らなければいけないと、輝夜達に伝えた。だが
  一緒に住んでいる輝夜達も、地上人ではなく月の民だったのだ。


  ――輝夜の記憶がよみがえる。
    罪を犯す前の月での生活を。
    賤しき地上人と暮らしていた頃を。
    自分を迎えに来た月の使者を殺害し、隠れて暮らしてきた事を。


  輝夜は永琳と相談し、鈴仙を月に返さない事に決めた。使者を殺して
  しまっては、また場所を変え、隠れ住す必要が出てしまう。だが、も
  う身を隠して暮らす事に飽きたのだ。何とか月の使者を追っ払い、か
  つ堂々と地上で暮らす事が出来ないのかと、永琳に相談した。


  永琳は輝夜の相談が言い終わるかどうか、という位で瞬時にこう返答
  した。

  「ならば地上から満月を無くせば良い。
   さすれば、月と地上は行き来できなくなる。
   地上から見える満月は、月と地上を行き来する唯一の鍵なのだ。
   だから、満月の夜にしか使者は訪れない。
   その鍵を壊せば……、
   地上は、大きな密室になる。」

  と。




  輝夜達は、本物の満月を隠し、地上人が見る空に浮かぶ月を偽物の月
  とすり替え、そしてほんの少しだけ、欠けさせたのである。

  これで、地上と月を行き来する事は不可能になった。

  ただ、唯一の誤算は、満月の力に頼っていたはずの妖怪達の力が、こ
  れほどまで強い物だとは思わなかった事である。

  結局、人間と妖怪の力によってこの術は破れてしまったが、そもそも
  幻想郷は閉ざされた空間。元々、月からも入ってくる事は出来なかっ
  たと言う事を知った。


  今は輝夜達は隠れて暮らすのをやめ、普通に永遠亭で暮らしている。

  月?
  月が結局どうなったのかは、地上に這いつくばって暮らす民である
  輝夜達には知る由もなかった。





 ○エキストラボス 蓬莱の人の形
  藤原 妹紅(ふじわらのもこう)
  Huziwara no Mokou 

  種族:人間
  能力:老いる事も死ぬ事も無い程度の能力


  蓬莱の薬を服用し、ずっと生き続けている人間。

  大昔、まだ不老不死ではなかった頃、彼女は貴族の父を持つ娘だった。
  ただその存在は隠されており、余り望まれた子では無かったようであ
  る。そんなある日、父はある身分の低い娘に求婚して、難題を吹っか
  けられ恥をかかされたという。その娘が輝夜である。

  それ以来、幼い彼女はずっと輝夜を敵対視してきた。輝夜が月に帰る
  というので、どうにか一矢を報いたいと思っていた。でも、近づく事
  も出来ない。結局逃げられてしまったが、せめて輝夜が残したという
  「薬の壺」を奪ってやろうと考えた。

  しかし壷を手に入れた人間は何故か、その壺を山に捨てようとしてい
  たので、そこを狙い壺を奪う事に成功した。その壺に入っていた薬と
  は、蓬莱の薬……。
  この時以降、彼女の姿を見たものは居ない。



  成長しない人間は同じ場所では暮らせない。転々と住む場所を変えな
  がら暮らしていた。しかし人間は一人では生きられないが、妹紅は死
  ぬ事が無い。お腹はすくし、怪我をすれば痛いが死ぬ事は無い。結局、
  人里離れた山奥で妖怪みたいにひっそりと暮らす様になっていった。

  それから長い年月が過ぎた。


  今では、輝夜と殺しあうのが日常である。最初この山奥で輝夜の姿を
  見たときには本当に驚いたが、何てことも無い。この体にした蓬莱の
  薬は輝夜が置いていったものだ。月に帰るとかいって、そもそも月な
  んかに帰れるはずが無い。輝夜も住む場所を変えざるを得なかった人
  間なだけだ。なんだか急に気が抜けた気がした、輝夜も同じ人間なん
  だ。

  今でも輝夜は憎い。それに輝夜は私を消そうとしてくる。でも、死ぬ
  事はない。なんて充実した毎日だろう。人里離れた山奥にあるこの地
  は、本当の蓬莱の地に違いない。
  生きているってなんて素晴らしいんだろう。